ニュージーランド

全国の自然国立公園には多くのトランピングコースが設けられ、よく整備されている。半日で歩けるコースから数日かけて歩くコースまでバラエティーも豊富だ。要所要所にはロッジもあり快適だ。しかし自然保護の観点から多くのコースには入山制限があり、一日に入る人数、グループの場合はその人数、ガイドを伴う義務など場所毎に細かく決められている。
この国は他の国に比べればもちろん圧倒的に自然が豊ではあるが、過去は自然大破壊の歴史である。人口僅か350万人ほどで、日本の本州より大きい国土の森林を放牧場に変えてしまったのだ。古代の大木を伐採して平地や丘を牧場にしてしまったのだ。さらに国外からいろいろな動植物を持ち込み生態系を大きく変えてしまった。現在この反省の上に立って自然保護には非常に神経質になっている。

元々この土地には哺乳動物がおらず、もちろん人間もいなかった。他の大陸から大きく隔離され特異な生態系があったのだ。12-3世紀ごろマオイとよばれる先住民が住み着いた。何処から来たかは不明であるが、おそらく太平洋の海洋民族であろう。最近のDNA調査では台湾の山岳民族との説もある。風貌も非常によく似ているそうだ。マオイは採集生活で、魚や自生の植物を採集して生活していた。従って数百年の間殆んど自然を破壊することは無かった。
その後18世紀になって英国人達が一斉に移住してきて農業、酪農を始めた。さらに狩猟や、毛皮を取る目的で動物を原野に放った。今この負の遺産に苦労しているのだ。

南半球の黄葉を見るのも楽しみだったが、実はこの国の原生植物には黄葉するものは無いそうだ。つまり落葉樹がないのだ。現在はいちょうやポプラが持ち込まれているため美しい黄葉も見られる。

この国は南島、北島に大きく分かれる。南島は太古の昔に南極大陸から分かれて移動してきたもの。北島は火山の噴火で出来たものだ。従って南は褶曲山脈、北は火山で出来ている。南には氷河湖が多く、北にはカルデラや温泉があり、世界最古の地熱発電所も稼動している。北と南は近いようだがフェリーで3時間の距離だから結構遠い。生態系も若干違うようだ。酪農も北は牛が中心、南は羊と鹿が中心だ。

世界的に放牧と言えば羊が主だが、羊は生まれてから毛を取ったり、肉を取って1頭当り生涯で1万円ほどの収入だそうだ。それに比べて鹿は肉にして1頭当り10万円以上になるのだそうだ。酪農家は羊から鹿に転向しつつあるとか。鹿の需要は主にドイツだそうだ。日本の農家は鹿の害に悩まされている。もっと鹿を食用にすることを考えたらどうだろう。ちなみに鹿のステーキを食ってみたら非常に美味かった。牛より美味くて脂が少なくダイエット食品としてヒットするかも。

2007年4月ニュージランドを旅した。主たる目的はトレッキング、つまり山沿いの自然の中を歩くこと。ここニュージランドではトレッキングという言葉はあまり使わず、もっとのんびり歩くということでトランピングという。
ニュージランドには山が多い。いずれも2-3000メートル級の高さでそれほど高くはない。しかし緯度が高いため氷河が多く、山肌も険しい。このため頂上を目指すいわゆる登山はあまり一般的ではなく代わってトランピングが国民的スポーツとなっている。